多余的話

大沢武彦のブログです。

【転載】シンポジウムのお知らせ:日ソ戦争史研究の到達点と展望

企画・趣旨説明・司会をやるシンポジウム「日ソ戦争史研究の到達点と展望」を12月16日(土)14時30から近現代東北アジア地域史研究会第33回大会でやります。よろしくお願いします。

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近現代東北アジア地域史研究会大会第33回(2023年度)研究会大会

http://northeastasia.information.jp/symposium.html

開催会場:成城大学 3号館321教室
[アクセス] https://www.seijo.ac.jp/access/
[キャンパスマップ] https://www.seijo.ac.jp/about/map/

 

14:30~17:30 シンポジウム

タイトル「日ソ戦争史研究の到達点と展望」

趣旨:《シンポジュウム趣旨》
第二次世界大戦終結間際の1945年8月9日から始まる日ソ戦争についての日本における研究は、近年になって大きく進展した。
日ソ戦争は、短期間ながらもソ連軍・モンゴル軍と日本軍・満洲国軍による軍事衝突であり、その範囲も、満洲・朝鮮・樺太・千島列島などの日本の勢力圏の北半分で広範囲にわたって行われた。従来の日本における近現代史においては、日本の「終戦」に至るプロセスの一つとして論じられ、そのトリガーとして「ソ連の参戦」が位置づけられ、この戦争を東アジア規模での歴史的総体として取り扱い、その後の展望を含めた歴史的実態を論じる研究は少なかった。
この研究上の空白を埋めて行く上で貴重な成果となったと考えられるのが、『日ソ戦争史の研究』(勉誠出版、2023年)である。同書掲載の各論攷では、日本だけでなくロシア、中国、等々の資料・研究を駆使しつつ、日ソ戦を日本史・ロシア史・中国史・モンゴル史・現代政治から多面的な考察が展開されに、日ソ戦争史の新たな研究水準を切り拓くものとなっていると考えられる。
以上の認識を前提に、本シンポジウムでは、麻田雅文氏による前掲書の総合的評価となる基調報告を行い、それに対して下掲の各コメンテーターが、改めてそれぞれの専門領域からのコメントを加え、そこにフロアーとの総合討論を加えることで、前掲書の到達点の吟味と日ソ戦争が近現代東北アジア地域にもたらした歴史的影響を展望せんとするものである。

大澤 武彦 氏(国立公文書館)「趣旨説明・司会」
麻田 雅文 氏(岩手大学)「基調報告」
白木沢 旭児 氏(北海道大学)「コメンテーター」
阿南 友亮 氏(東北大学)「コメンテーター」
「総合討論」

 

開催形式:

対面とオンラインのハイブリッド方式
ZoomURL等の参加情報:会員には別途メールもしくは郵送にて連絡。
非会員の方で参加を希望される方は、以下のURL(Googleフォーム)にアクセスいただき、申し込み手続きを行ってください。登録は、2023年12月4日(月)正午から可能です。登録締め切りは、2023年12月12日(火)正午です。
申し込みURL:https://forms.gle/frLjYjVKKWa8RjQ56
申し込みいただいた方には、大会前日(12月15日)に、Zoom参加情報(URL)を、参加申込時に登録いただいたメールアドレス宛に送付いたします。
万が一、事前申込みをなされたにもかかわらず、案内のメールを受信できていない方がいらっしゃいましたら、大変お手数ですが事務局までメールでお知らせください。アドレスは「matsushige.mitsuhiro★nihon-u.ac.jp」になります(★を@に変えて送信してください)。

 

君たちはどう生きるか(感想・やや辛口)

過日、ようやく、宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」を見た。

いかに巨匠とは言え、80を越えた監督に、それほど大きく期待するのもいかがなものかなと思いつつも、わざわざこの説教くさいタイトルを前面に押し出して、敢えて期するところがあるのかと少し期待もしていたのである。

https://www.ghibli.jp/works/kimitachi/

以下、ややネタバレ(やや辛口)あり。

 

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台湾日記(補足)

台湾から無事に東京の家に帰ってきた。

ほぼ15年ぶりぐらいの台湾で、変わってなくて素晴らしいものもあり、変わってて素晴らしいものもあり、大変に良い滞在であった。

何となく書こうと思っていたけど、日記に書かなかったことを、ここでまとめて置こう。

○悠遊卡について

台湾のSuicaともいうべき悠遊卡であるが、十年以上前のものが使えて、大変に驚いた。今回も交通にコンビニの買い物、果ては国家発展委員会檔案管理局のコピー代に使えて大変に便利であった。

○LINE Pay、及び電子決済周りについて

事前に調べたところ、台湾ではAppleIDとLINE Payが結構、使えると言うことであったが、それは割と事実であった。LINE Payは、コンビニ以外の場所、飲食店や本屋で使えて大変に助かった(なぜかコンビニだけは使えなかった)。他方で、AppleIDはコンビニで使えることが分かり、現金以外の選択肢も、だいぶ視野に入ってきたように思う。

 

無事に帰ってきた、と言ったものの、実はちょっとドキドキした瞬間というのはあった。書籍等を買いすぎて、持ってきた現金が足りなくなり、上記のようにやりくりしていたところ、帰りはタクシーで帰ることになり、宿泊所で何度もクレジットカードで料金を支払う旨、伝えていた。ところがタクシーが空港について、クレジットカードを取り出して決済をしようとしたところ、何故かクレジットカードの決済ができず、本当に頭を抱えていたところ、「LINE Pay OK?」と聞いたら、できたので大変に助かった。ただし、全てのタクシーでLINE Payが使えるかどうかは分からない。タクシー内の小さなディスプレイを見たらAppleIDも使えそうであった。

台北の暑さについて

東京よりも暑いのではないかと心配したら、東京の方が暑かった。成田から家に帰るまで、重たい荷物を運んで大変であった。

大変に楽しかった。また、こんど、短い間隔で行きたいなぁ。

台湾日記(8日目)

明日の早朝に日本に帰るので、実質、今日が台湾滞在の最終日である。長いと思っていたが終わるとあっという間という、大変に陳腐な感想をやはり持ってしまう。

 

中央研究院からバス2本を乗り継いで、2時間ぐらいかかったであろうか、国家発展委員会檔案管理局に行く。台湾の国立公文書館とも言うべき組織であろう。

 

 

展示のスペースは、驚くほど小さいが、閲覧室は割と広くて大変に新しくて綺麗であった。

 

 

国民政府の外交部と国防部の資料を見る。どちらも国民政府の資料であるが、なかなか興味深いものであった。前者に関してはすでに、デジタル化を終えているためか、備え付けのパソコンで見ることができた。パソコンには事前に申請した自分の名前のフォルダがあり、そこにデジタル化された資料が全て入っていた。

 

少し驚いたのが、大きな机にはパソコンと並ぶ形で、大きな備え付けのカメラがあることであった。国防部の資料については、原本が出され、コピーをしたいといったら、その備え付けのカメラで写真を撮るように言われた。私物のカメラでの撮影はダメであるが、備え付けのカメラであれば良いと言われる。このカメラで撮った資料については、たぶんSDカードか何かで備え付けのパソコンに移動して、改めて見ることができた。

 

ここで面白かったのが、コピーをしたいと言った時、もちろん紙でも印刷できるようであるが、デジタルデータそのものを貰うこともできるということであった(費用はもちろんかかるが)。最初にはUSBメモリを持っているかと聞かれて、いや持ってないと答えたところ、クラウド上に上げてダウンロード出来るようにしてくれた。紙を介さずに直接デジタルでやりとりできるとは、凄いものだと感じること大であった。

 

午前の資料調査を終えて、台北駅に戻る。昼食は台湾に来る前から目星をつけていた。「老張牛肉麺」を食べにいく。大変に美味い。そして、酸菜が小さな皿で自由に取れるのも嬉しいし、これもなかなか良い味である。

 

【参考】【老張牛肉麵】永康街エリア、創業60年の老舗で食べた牛肉麺
https://taiwan-wind.com/gourmet-2018012201/?fbclid=IwAR3VGc_j64vpLwK5S4NIOZFq6WxxpqJ0QC3tnZbOkqXTfG0wWvv3FXkI2xU

 

次に、研究者の間では大変に有名な「楽学書局」に行く。わかりにくい場所ではあるが、実は牛肉麺を食べた所の近くであると、Googlemapが教えてくれて、歩いて行けた。

 

 

 

中央研究院近代史研究所とはまた違うが、ここも大変に面白い本があり、控えめに3冊を買う。その次は、ニニ八国家記念館と本屋を次々はしごする。ニニ八記念館は何かイベントと偉い方がお越しになっているのか、何か落ち着かない雰囲気であった。とは言え、音声ガイドがQRコードを使ってYouTubeに飛ばすという考えも面白かった(日本語のガイドもあった)。台湾は何でもQRコードなのだなと思った。

 

 

夜は先輩の研究者とお目にかかって会食。大変に楽しく過ごす。

充実した台湾の旅で良かった。最後は、台北駅で見たミスタードーナツと本日購入した本である。

台湾日記(7日目)

今日も中央研究院近代史研究所檔案館にて調査を行う。大体の方向性というか、良いのか悪いのか分からないが、こういう形でこの資料を生かせるのではないかというようなビジョンが見えてきた。

 

その後、台湾の先生と日本から同時期にやってきた先生と、待ち合わせて一緒に中央研究院の近くのレストランで昼食を取る。日本や台湾などの研究状況や資料のことなどいろいろ情報交換できてとても楽しかった。そして、日本人の研究者の名前が中国語で出てこない問題を痛感した。

 

あと、ここでも、本当に偶然に別の中国近現代史研究の方とお目にかかった。みんな考えることは一緒ということか。連れて行ってもらったお店はこちら。

 

○飲飽食醉

https://angela51.com/taipei-210307/

大変に美味しかったので、夕食もここで一人で食べた。小さいがデザートの果物もついてくるのが良い。時間軸が逆転するが、午後もひたすら檔案を書き写す。

 

さて,明日が実質の台湾滞在の最終日となる。まずまずの収穫があったのではないかと手応えを感じた。

 

台湾日記(6日目)

今日も中央研究院にて調査である。本日、朝一に、近代史研究所の郭廷以図書館にまず行く。その蔵書に相変わらず驚かされるが、今回のお目当の本の一部をコピーする。まず、図書館の利用にあたっては特に手続きはなく、荷物をロッカーにさえ預ければ問題なかった(パスポートすら出す必要がなかった)。あと、コピーカードについては、郭廷以図書館では売っておらず、近くの傅斯年図書館まで買いに行く必要があった。コピー代は1枚1元であり、カードは100元単位で売ってくれた。

 

 

次いで、また檔案館に資料調査を行う。この資料群は見れば見るほど興味深くて、本当に時間がいくらあっても足りないが、何とか幾つか集中的に見る資料を決めて、画面を見ながら一部コピー、一部パソコンに入力する。昨日は書けなかったけど、檔案館内では、自分のパソコンを持ってきて、登録が必要ではあるが、インターネットにつなぐことも可能である。eduroamなどにつなげる方はもっとスムーズにつなぐことができるかもしれない。

 

昼食はコンビニ飯で済ます。ApplePayが使えるコンビニは以下の写真のとおり。明日の朝食等も購入する。

 

 

一日檔案館にいた。本日はなかなかの収穫もあったが、時間の足りなさも痛感した日であった。そして、本当にここで長期間調査できる人が羨ましく感じた一日でもあった。宿舎近くのレストランで、夕食を取る。味はまずまず。

 

 

 

台湾日記(5日目)

本日は、早起きして、台湾に持ち込んできた細々とした作業を行う。

そして、再び洗濯する。宿泊所の地下にはコインランドリーと乾燥機がある。洗濯は30分で、乾燥は1時間半にて終了する。洗濯物が一人のためかホカホカになる。

その後、中央研究院近代史研究所の檔案館にて、法務部調査局の資料を見ることにする。法務部調査局の中国共産党の資料については、過去のブログ記事をご参照あれ。

  • 台湾法務部調査局の資料について

https://takeosa75.hatenablog.com/entry/2023/05/24/190043

中央研究院近代史研究所檔案館

この日は実践編である。開館時間である午前9時ちょっと過ぎに、訪問したところ閲覧者はそれほど多くない。閲覧室には、大きな机がいくつもあり、そこには全部で15台ぐらいのパソコンと大きなディスプレイがあった。持ってきた荷物は入り口近くのロッカーに預けるが、個人のパソコンやiPad等については、持ち込みが可能であり、そのための電源と思われる箇所もあった。

 

最初に閲覧室の女性から、資料の閲覧にあたっての注意点などを聞く。法務部調査局の資料については、資料を表示の際に、ディスプレイの画面を撮影することができず、携帯電話も預けなければならなかった。興味深いことに、たぶんインターネットでも公開しているであろう、国民政府の外交部や経済部の資料は、ディスプレイを撮影して良いとのことであった。近くに座っていた、とある閲覧者は、三脚にiPhoneを備え付けて、パシャパシャとディスプレイを撮影していた。重要なこととして、法務部調査局の資料のコピーは1年間に500頁までで、全体の2分の1までという規定があった。全部コピーしたいような資料もあったが致し方ない。半分をコピーして、重要な部分を写経することとした。

 

そして、備え付けのパソコンから、法務部調査局の資料でスキャンをしたものも閲覧することができて、大変に興奮する。これは写真に撮れなかったので、是非とも現地に行ってみてほしい。中国共産党の原資料というか、たぶん中国大陸であれば、地方の檔案館にしかなさそうな資料が、あまり系統的とは言えない部分はあるが、大変に興味深い資料を見ることができた。

 

一般的に言えば、何となくであるが、中国共産党の1930年代から40年代前半の資料が多そうな感触をもったが、内戦期のものもそれなりのボリュームがあった。自分の研究フィールドである戦後の中国東北のものも少しはあり、重要な部分をパソコンに書き写すことにした。

 

なぜか、法務部調査局の資料には、昼休憩があるらしく、12時から13時半は公開していないとのことであった。その間は昼食をとり、休んで13時半からまたパソコンで書き写す。

 

4時半に檔案の閲覧は終了と言われたので、その後に近くの郭廷以図書館もほんの少しだけ覗くと、中央研究院近代史研究所の本が売っている場所のチラシがおいてあった。5時に閉まるかもと思いつつ近代史研究所へ行って聞いてみると、大変親切に教えてくれて、近代史研究所が出版した書籍を割引で購入することができた。

 

宿泊所に戻り、夕食と明日の朝食を買いにコンビニに行ったところ、前回は気づかなかったが、中央研究院のコンビニではApplePayが使えて、少し安心する。早めに帰路についた。