多余的話

大沢武彦のブログです。

2019-01-01から1年間の記事一覧

読了、益尾知佐子『中国の行動原理』中公新書、2019年

日本を含めた世界各国と軋轢を起こす一党独裁の国、中国。 その背後には、何があるのか、それを中華思想や世界制覇の野心があると安易に論ずるのではなく、できるかぎり内在的にその論理を解明しようとする。こうした姿勢は大変に共感を覚えるし、はっとする…

2019年を少し振り返る(ライブ編)

この記事を書くために過去のTwitter等を読み返してますが、今年は結構、フェスにいってますね。良いライブも沢山見たような気がします。 3月、ダウンロードフェスティバル ヘイルストーム→アーチ・エネミー→アンスラサクス→ゴースト→サム41→スレイヤー→(少…

2019年を少し振り返る(音楽編)

今年も、昔の音楽ばかり聞いてました。回数を数えた訳でないが、たぶんボブ・ディランの以下のCDは今年一番聞いていたような気がします。 Rolling Thunder..-Box Set アーティスト:Bob Dylan 出版社/メーカー: Columbia 発売日: 2019/06/07 メディア: CD ま…

【宣伝】アーキビスト養成・認証制度 調査報告書(令和元年11月)(PDF)など

国立公文書館で発表されたアーキビストの養成・認証制度構築のための調査報告書です。 日本・アメリカ・イギリス・オーストラリア・フランス・韓国・中国の事例をまとめております。私は中国部分を担当しました。ご参考になれば、大変嬉しいです。 http://ww…

読了、峯村健司『潜入中国』朝日新書、2019年

どうも最近、いやひょっとするともっと前からなのかもしれないが、中国がさらにおかしなことになっているようだ。前にも書いたように、ここ最近中国に行っていないような身でありながらでさえ、少し分かってきた。 現在、率直に言うと前のように、気軽に中国…

いただきもの。多謝!及川琢英『帝国日本の大陸政策と満洲国軍』

著者の及川琢英さんから頂きました。ありがとうございます! 及川さんの論文については、実はかなり読んでいる自負はありますが、改めて勉強し直す良い機会を与えられたと思います。 自分はもらってばかりで、人にあげる論文等をはやく書かねばと思っている…

いただきもの。多謝!関智英『対日協力者の政治構想』名古屋大学出版会

著者の関智英さんからご恵投頂きました。ありがとうございます! 日中戦争期における「漢奸」と呼ばれた対日協力者達の未完の政治構想に焦点を合わせた関さんのこれまでの研究の集大成、大作になるかと思います。 これは今後の研究の必読文献になるかと思い…

いただきもの。多謝。久保 亨, 土田 哲夫, 高田 幸男, 井上 久士, 中村 元哉『現代中国の歴史』第二版 

著者の方から頂きました。ありがとうございます。 第二版ができるくらいに、現代中国の変化は早いということになるのかと思います。 併せて、今の香港情勢を見ると、それを歴史的に考える意味でも、両岸三地というアプローチは大変に興味深いものかと思いま…

読了、高橋伸夫「高崗事件再考」

別段、自分に限ってではないと思うが、普段、僕にはいくつか関心のあるテーマがあって、本を買って読んだり調べ物をしている。その関心の一つに、高崗事件がある。高崗事件とは、1954年春、中国東北地方の実力者と知られていた高崗が、饒漱石とともに粛清さ…

読了、余華『活きる』中公文庫

チャンイーモウ監督が映画化した『活きる』は、大昔、授業でも使ったことがあり、結構、見ていたが、その原作が、文庫本になり、Kindle化されたので読んでみた。 これは、いわゆる主に国共内戦、土地改革、人民公社、大躍進、そして文化大革命という1940年代…

読了、梶谷懐、高口康太『幸福な監視国家・中国』NHK出版新書、2019年

友人の中国研究者(歴史の人が多いですが)に会うと、たいてい聞いている質問がある。「最近、中国行っている?」「中国、どうだった?」と言うものだ。 人よりも中国については詳しいつもりであるが、しかし、香港を除けば、ここ数年中国大陸に行っていない…

読了、王力雄『黄禍』集広舎、2015年

いやー、この本もかなり遅まきながら読んだが、かなり面白かった。 黄禍 作者: 王力雄著,横澤泰夫 出版社/メーカー: 集広舎 発売日: 2015/11/09 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 王力雄の『黄禍』だ。いささか時代がかっており、通俗的と言えばそ…

いただきもの。感謝。細谷亨『日本帝国の膨張・崩壊と満蒙開拓団』有志舎、2019年

著者の細谷亨さんから頂きました。ありがとうございます。 近年、満蒙開拓団は、静かではありますが、研究が盛んになっており、その静かなブームの頂点の一つとなる御著書かと思います。 以前に報告を伺った際には、満蒙開拓団を送り出す側の現場の実態を鮮…

フジロック2019に行ってきた

さて、今年もいろいろとありましたが、フジロック2019に行ってきました。 無事に帰ってきました。関係各位に篤く御礼を申し上げます。 備忘録も兼ねて、簡単にレポを致します。 第一日目 レッドホットチリパイパーズ→昼食、アンマリー最後のみ見る→ルート17…

中共重要歴史文献資料彙編について(その3)

さてさて、また覚え書きは続く。たぶん最後なので少しおまけのような覚え書き。 表題の資料集について、最近、読んだ辻康吾さんの中国共産党史に関係するエッセイが興味深かった。 中華万華鏡 (岩波現代文庫) 作者: 辻康吾 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日…

映画『ニューヨーク公共図書館』を見てきた

実は割とすぐに、この映画が岩波ホールで上映されると聞き、題材的にも大変に面白そうだったので早速、見に行こうとした。で、土曜日に40分ぐらい前に来て切符を買おうとしたが売り切れで見ることができなかった。結構びっくりした 次に行った時は平日の金曜…

中共重要歴史文献資料彙編について(その2)

さて、覚え書きは続く。 まず、表題の資料について、中村元哉さんが、『現代中国の起源を探る 史料ハンドブック』で以下のように記している。 この『中共重要歴史文献資料彙編』は身元不明の出版社から発行されているだけに、収録されている史料の信憑性には…

読了、斉藤光政『戦後最大の偽書事件 「東日流外三郡誌」』

最初のページを読み始めて、ぐいぐいと引き寄せられてあっという間に読んでしまった。その感想は、楽しかった、興味深い、と言うのもないわけではないが、多くは背筋の凍るような大変に身につまされる話であった。 「東日流外三郡誌」は、「つがるそとさんぐ…

中共重要歴史文献資料彙編について(その1)

香港中文大学で出会った『中共重要歴史文献資料彙編』の資料集について、やや覚え書きみたいなことを書いておく。 知る人ぞ知るみたいな感じで、僕は噂だけは聞いていたのだが、現物を見るのは初めてだった。香港中文大学には、書庫をみると200〜300冊程度は…

王力雄『セレモニー』藤原書店、(読了)

いやー面白い。買って読み始めるとぐいぐいと引き寄せられ、前の『私の西域、君の東トルキスタン』と異なり、あっという間に、2日間で読み終えた。 現在の中国やその「民主化」について、関心のある方は必読かと思う。 本の表紙によれば、そのストーリーはこ…

香港日記(その5)

5月1日(水) 本日は休息日。そして、香港滞在の実質的最終日である。午前中はゆっくりしている。その後、香港文化博物館のブルース・リー展を見に行く。最初に入った入り口が、「燃えよドラゴン」のクライマックスの場面だったのは非常に気分が盛り上がった…

香港日記(その4)

4月30日(火) 香港での調査の最終日。朝から中国研究服務中心へ行く。『内部参考』を見続けるが、午前中でコピーの制限に達してしまい。残りの部分はせっせと筆写する。最初は、くまなくブラウジングしていたが、その後、とても全部はコピーできないという…

香港日記(その3)

4月28日(日) 香港からマカオに向かう。上環からターボジェットに乗る。マカオに着くが、当初、バス停が分からず、タクシーに乗って移動する。Googlemapが使えなくなったので、久方ぶりに地球の歩き方にそって、最初に馬閣廟を見に行く。なかなかに面白かっ…

香港日記(その2)

4月27日(土) 朝起きて、再び、香港中文大学、中国研究服務中心へ。 本日も調査。『解放軍文芸』なる1951年以降発行された人民解放軍の文芸誌のバックナンバーも見つけてなかなか興味深い。えんえんと『内部参考』を見る。 中心内の資料のほとんどは、普通…

香港日記(その1)

4月25日(木) 少し甘く見ていたら、飛行機の搭乗に遅れそうになり焦る。実は初めての香港へ出発。 午後3時頃、香港に到着。香港のSuicaとも言うべきオクトパスカードと携帯電話のsimカードを買う。simカード購入の際には、店員さんに8日ほど滞在すると言っ…

読了、王力雄『私の西域、君の東トルキスタン』(その2)

やっと読み終わった。何かに対して、こんなに時間がかかって申し訳ないと思ってしまっている。もっと早く読めばとも思った。 とは言え、この本を読み終えて、王力雄はすごいなと畏敬の念を持った。そして、直感的な理解であるが、本書における王力雄とウイグ…

ダウンロードフェスティバル(2019/03/21)に行ってきた

先日、幕張メッセで行われたラウドミュージックの音楽フェスティバル、ダウンロードフェスティバルに行ってきました。 皆様、ご存じの通り、フジロックには毎年のように参加しておりますが、サマソニ等の幕張メッセを使ったフェスに行くのは実は初めて。当初…

香港映画『十年』(字幕版)を見た

前から気になっていて、『現代中国研究』第42号にも日野みどりさんが取り上げておられた香港映画『十年』が、Amazonプライムで見られるというので見た。 『十年』は、2015年に「10年後の香港を想像する」プロジェクトとして若手監督5人が作った短編からなる…

読中、王力雄『私の西域、君の東トルキスタン』(その1)

今、新疆ウイグルが大変なことになっている。 そのことについては、あまり贅言を要しない。もう結構前になるが、以下のイベントにも行ってきて、これは大変なことだなと、どうしたら良いだろうと考えさせられた。 【東京】ウイグル強制収容所から奇跡の生還…

「天天中文」で中国語を学ぶ

過日、とある場で、びっくりするぐらいに中国語が喋れなくて、このままではまずいと思っておりました(前から喋れてないだろうというツッコミはこの際、積極的に無視します)。 中国語学校にまた通おうかなーと思っていたところ、とある方から、スカイプ使っ…