多余的話

大沢武彦のブログです。

A・ソクーロフ「太陽」

初めての休日出勤。しかし、思ったよりも早く帰れることになり、前から行きたかったA・ソクーロフ「太陽」を見に行くことにしました。
(以下、ネタバレあり)

率直に言いますと、ちょっと眠くて意識が飛んだシーンはありました。とは言え、思ったよりもはるかに分かり易く、非常に興味深い映画でした。「事実」を反映しているかは分かりませんが、「フィクション」によって別の「事実」に肉薄し、ある程度、成功をおさめていると思いました。


さらに率直に言いますと、自分は昭和天皇に対して、全くと言ってよいほど特別な感慨は無く、テレビで見たまさに「あ、そう」と言うお爺さん、という印象しか持っていませんでした。そして、そのイメージは、イッセー尾形によってほぼ完璧にコピーされ、映画に登場してきました(その意味で、イッセー尾形は「当時」の昭和天皇を演技したわけではないとも言えます)。


ところが、戦後、アメリカ人記者達が昭和天皇を写真撮影する時に、彼らが昭和天皇に全く敬意を表さず、チャップリンにそっくりだなどと言うのを見て、まるで自分が侮辱されたように感じ、「黙れ、貴様ら、天皇陛下にあらせられるぞ!!!」という内なる声が聞こえて驚きました。少なくとも天皇制が自分を深く捕らえていて、そこから全く自由でないことを再確認させられ、天皇とは日本人にとって何なのかを考えさせられました。


また、こういう映画をロシア人監督であるソクーロフが作ったということにも興味を覚えました。終了後、思わずA・ソクーロフ他『映画『太陽』オフィシャルブック』を買ってしまいました。


映画の後は、最近、有楽町近辺にいる時は、よく行くあろいなたべたでCセットを食べて、帰宅しました。

  


映画『太陽』オフィシャルブック

映画『太陽』オフィシャルブック