2004-11-21 言論統制 佐藤卓己『言論統制―情報官・鈴木庫三と教育の国防国家』中公新書。 今年読んだ新書では一番よかった。本書は、軍の情報官で第二次世界大戦中に言論統制を行った鈴木庫三を扱っている。無教養で文化を理解しない粗野な軍人というステレオタイプが、新資料と綿密な実証によって次々と覆されていく過程は非常にスリリング。個人的には、軍隊という組織が、想像以上に教育学や文化と結びついている点が驚きであった。そして、何よりもステレオタイプを排して、一日本軍人の思想史を描いたという意味で、お勧めの一冊です。