チャンイーモウ監督が映画化した『活きる』は、大昔、授業でも使ったことがあり、結構、見ていたが、その原作が、文庫本になり、Kindle化されたので読んでみた。
これは、いわゆる主に国共内戦、土地改革、人民公社、大躍進、そして文化大革命という1940年代から1970年代までの中国激動の時期を生き抜いた福貴という一人の農民を主人公にしている。歴史的な背景、そういったことを抜きにしても、普遍的な一つの家族愛の小説として、この胸をうった。
「楽しく暮らせれば、貧乏なんて怖くないよ」
何か特別な文学的修辞があるわけでもないこの素朴な言葉が、泣ける。
映画も傑作であるが、小説もそれ以上の傑作であり、中国という枠組みを超えて、普遍的な文学小説としての面白さもあり、ホントに僕が読んでいる本にしては珍しく誰にでもお勧めできる一冊になっている。