多余的話

大沢武彦のブログです。

台湾版『マオ』出版中止

前回エントリーのコメント欄でのa-hongさんの御指摘どおり、台湾版『マオ』は出版が流れてしまったようです。改めて整理。

  • 胡宗南後裔戰勝 遠流棄守「毛澤東」

http://www.ctitv.com.tw/new/news/news02.html?id=12&cno=5&sno=262404
以下、非常におおざっぱなまとめ。
胡宗南スパイ説に対し、その息子である胡為真が、『マオ』の出版権を獲得した遠流出版公司に数度にわたって抗議したのが直接の原因のようです。出版社側は、張戎、ジョン・ハリディ両氏に対しよりソフトで「中立的な」書き換えを依頼したところ、合意に達することができずに出版が流れたとあります。

胡宗南的兒子、我國駐新加坡代表胡為真因此多次提出抗議,上月底還與多位退役將領前往遠流公司表達立場,遠流公司人員形容這麼多將軍出現的景象是滿天星星,相當壯觀。 

どうも、胡為真は多数の退役将校を引き連れて、抗議をしたようですね。変な言い方かもしれませんが面白いですね。

  • 《毛澤東:鮮為人知的故事》作者聲明

http://www4.chinesenewsnet.com/MainNews/Opinion/2006_4_27_13_4_12_734.html
出版停止に対する張戎,ジョン・ハリディの声明。

  • 學者看張戎著作:史料證據不夠完整

http://www.ctitv.com.tw/new/news/news02.html?id=12&cno=5&sno=262247
台湾の学者が、『マオ』に対して疑問を呈している記事。
いくつか抜き書きしつつ、仮訳。

而學界普遍認為,《毛》並非嚴肅的學術著作,當中的史料證據談不上完整可信。 

仮訳:学界では一般的に、『マオ』は決して厳格な学術著作でなく、その中で使われている史料・論拠は完全に信頼できるものとは言えない、と見なしている。

創荈頂{為張戎的《毛》基本上屬於垃圾,不必為了保護言論自由而留下垃圾。

仮訳:創荈頂{(文字化けか?)は、張戎の『マオ』は基本的にゴミであり、言論の自由を保護するためにゴミを残す必要はない。

但他也說,張戎的作品當中「太快跳進結論,對毛澤東有先入為主之見」,證據與結論之間的關連不緊密,因此不能當成學術著作來看待。

仮訳:しかし彼(陳永發)も次のように述べている。張戎の『マオ』の中には「余りにも性急に結論に飛びつき、毛沢東に対する先入観にとらわれており」、論拠と結論との間の関係がしっかりと繋がっておらず、このため学術著作と見なすことはできない。

→ただし、陳永發は『マオ』で明らかになった新事実もあると文末でコメント。とは言え、ツッコミを入れているところはさすがであるか。それにしても、どういう「序文」を書いたのかは、やはり気になる。