多余的話

大沢武彦のブログです。

台北日記3日目 2006年12月2日

 
午前中は中正紀念堂に行く。初見だったが、南京の中山陵とワシントンのリンカーン像を意識した感じが面白い。中華民国アメリカか。展示も始めて見るものが多く大変面白かった。頭がふさふさの蒋介石を見たのは初めてかもしれない。展示の中には、蒋介石に関する映像資料もあった。みんな、関心も示さず通り過ぎていたが、僕は思わず45分近く立ちつくして、全部見てしまう。「台湾は三民主義の模範省」なるフレーズが多々あり、今の台湾を見ていると何というギャップかと思う。


見終わったら、東北の土地改革についての修士論文などをコピーしに国家図書館に行く。ここもパスポートだけで閲覧は可能であった。しかし、国家図書館の検索に出るからあるはずだと思っていたのだが、自分が探していた修士論文はまだ図書館には来ていないらしく、コピーすることはできなかった。後で分かったのだが、国家図書館の検索に出るからと言って、必ずしも国家図書館所蔵というわけではなかったのである。詳しくは、「夢遊的日録」の2006年12月3日のエントリ「台湾で学位論文を手に入れる」を参照。

収穫無く、ついで二二八公園と記念館に行く。当たり前だが、中正紀念堂との展示の方向性のあまりのギャップに驚く。どちちらも、「国家」のイデオロギー装置なのかもしれないが、それがギャップの異なるまま、すぐ近くに並存しているのが台湾ならではなのかもしれないと思う。展示内容そのものも、言うまでもなく重く考えさせられるものであった。

次いで古亭の楽学書店に行く。場所を覚えているか不安であったが、やはり体が覚えていたらしく、無事にたどり着くことができた。去年、台湾に行った時は、ここでたくさん買ったのだが、今回は控えめに購入。買ったのは黄自進主編『蒋中正与近代中日関係』稲郷出版社、2007年と張端徳『抗戦時期的国軍人事』中央研究院近代史研究所、1993年だけ。あと文革当時の日記が復刻されて出版されていて(タイトルは『文革日記』)、心惹かれるが高くて分厚かったのと、買っても読まないだろうなぁという心の声に負けて結局買わず。内容はとても面白そうなので、是非とも誰かに翻訳して欲しいなぁなどと虫のいいことを考えつつ移動し、お土産のパインケーキを買って、転じて華西観光夜市で食い歩く。さすがに一日歩き通しでへばってすぐ寝る。