多余的話

大沢武彦のブログです。

読了、峯村健司『潜入中国』朝日新書、2019年

どうも最近、いやひょっとするともっと前からなのかもしれないが、中国がさらにおかしなことになっているようだ。前にも書いたように、ここ最近中国に行っていないような身でありながらでさえ、少し分かってきた。

 

現在、率直に言うと前のように、気軽に中国に資料調査などに行けなくなってしまった。そういう時に、同書を手に取って読んだ。奇しくも「潜入」とある。大変に読みやすくて、あっというまに読み終える。

 

著者が実際に体験し、聞き取った箇所は大変に面白い。中国当局に取り調べを受けている様子やサイバー攻撃を受けての被害の状況などは体験者ならではの臨場感がある。

そして、この本の最後は、入国の時に指紋を採られ、監視社会の中に入る箇所での叙述で終わっている。ハイテク技術は、犯罪者の逮捕には有効かもしれないが、特派員にとっては大きな脅威だという。外国人研究者とてそれは例外ではないかしれない。縦横無尽に取材できた最後の特派員になるかもしれないという記述は重い。

 

また、個人的には、中国人民解放軍の現代化やサイバー化の話などは、阿南友亮さんの著書とかと付き合わせると面白いのではないかと思った。

潜入中国 厳戒現場に迫った特派員の2000日 (朝日新書)

潜入中国 厳戒現場に迫った特派員の2000日 (朝日新書)

 

 

幸福な監視国家・中国 (NHK出版新書)

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中国はなぜ軍拡を続けるのか (新潮選書)

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