多余的話

大沢武彦のブログです。

読了、グレン・グリーンウォルド『暴露ースノーデンが私に託したファイル』

長らく積んであったが、少し思うところがあって、読み始めて、大変に面白くて、一気に読了でした。

本書の指摘は大変に重い、しかし、今の世界を考える上での非常に重要な指摘をしていると思った。

 

暴露:スノーデンが私に託したファイル

暴露:スノーデンが私に託したファイル

 

本書の内容を簡単に紹介しよう。本書は、アメリカ政府の「大量監視システム」を暴いたエドワード・スノーデンの事件について、その当事者とも言えるジャーナリストによるものである。

 

本書はおよそ3つのパートで構成されている。一つは、エドワード・スノーデンとの接触から、その機密ファイルの提供、香港でのスノーデンとの出会いが描かれる。そして、二つ目は、スノーデンが提供した機密ファイルの具体的な内容が紹介されている。この部分は少し読みづらいが、スノーデンの提供した機密ファイルがそれ自体がきちんと紹介されているのは類書でこの本のみのようなので、資料的な価値が高いとも言える。三つ目は、スノーデンの「暴露」によって、生じた事態を現代社会においてどのように考えるのか、ジャーナリストはいかにあるべきか、個人のプライバシーはどのようにあるべきかを論じるものになっている。

 

冒頭部分はスパイ小説のようにスリリングだし、スノーデンの明らかにしたファイルの内容は、非常にすごいものがあるが、やはり三つ目の部分が大事であろう。そこでは、国家権力がいかなる論理で国民を監視しようとするのか、それに抵抗する人々に対していかなる態度を取るのか、赤裸々に描いている。いささか飛躍はあるかもしれないが、僕は、今一番面白いと言ってもいい次の漫画を想起した。

 

 

そこで著者は次のように訴える。

肉体的な安全より上位にある中心的価値とは、国家をプライヴェートな領域ー合衆国憲法修正第四条で定義される“身体、家屋、書類、個人資産”ーに関与させないことだ。それはこの領域が人生の質を左右する多くの特質ー想像力、探求、親交といったものーのるつぼのようなものだからだ。

 絶対的な肉体の安全を求め、プラヴァシーをないがしろにすることは、個人の健全な精神と生活に害を及ぼすだけでなく、健全な政治文化の弊害にもなる。

そして、民主主義は、透明性のある政府と個人のプライバシーを前提にしてこそ成立するという指摘は、この本全体を読むとやはり重い。と言うわけで、次の本も買いました。

 

あとは、この本も少し読み始めたけどやはり重要かな。