多余的話

大沢武彦のブログです。

第7回戦後満洲史研究会備忘録

ちょっと間が空いてしまいましたが、備忘録ということでご容赦を。

  • 大野太幹報告「満鉄附属地華商について―中国東北植民地化と日本支配下の中国商人―」

満鉄付属地における中国商人のあり方を報告するもの。僕のやっている時代であれば「漢奸」とされたであろう人々がどのような活動を行っていたのか、彼らが時には日本の「支配」を利用して経済的利益を得ていたことなどが分かり、非常に興味深い報告であった。異国による「支配」とは何か、或いは、「植民地近代」を考える上でも非常に面白い素材を提供しているのではないかとも思った。

  • 田中剛報告:「民国期のチンギス・ハン崇拝」

近代内モンゴル民族運動におけるチンギスハン崇拝についての報告。
ヴィジュアル史料も使った、チンギスハン崇拝に関する豊富な事例が多く出され、それ自体が非常に興味深かった。国民党や共産党が使うチンギスハンイメージと日本のものが異なっている点や延安で行われた共産党によるチンギスハン祭典の事例などが特に印象的であった。「民族ナショナリズム」とは何かを考えさせられた。