買いました。歴史家のはしくれの悲しい習性で、解説と脚註から目を通しました。著者が、もともと中国共産党党中央文献研究室に勤務していたこともあって(現在はアメリカに亡命し研究活動を続ける)、僕などがどうやっても見られなさそうな党内文献をふんだんに使っている模様です(例えば、周恩来の手書き書簡や当事者へのインタビュー)。内容も期待できそうです。
訳者でもある上村幸治さんの解説で驚いたのは、以下の箇所。
高氏は党中央文献研究室の室務委員を務めた。この委員は現在80人いて、指導者の資料の整理をし、党史作成の準備を続けている。
(下巻、352頁)
80人!何というか中国共産党の「党史」に対する力の入れようを見たようで今更ながら驚きました。
ちなみに、発売されたばかりの『文芸春秋』2007年4月号で高文謙さんと上村幸治さんの対談が掲載されております。
そこでも、
〔引用者注:高文謙さんの発言〕私のいた周恩来生涯研究小組は、最盛期でスタッフが20人前後いました。そこで周恩来の伝記を書いたり、中国共産党機関紙の「人民日報」に、周恩来に関する論文を発表していました。〔263頁〕
「最盛期」とは言え、周恩来研究だけで20人のスタッフというのもすごいなと思いました。毛沢東だと40人ぐらいかしらなどと不謹慎な計算がよぎります。全く文脈は異なりますが、日本における近現代史研究の扱われ方と比較して、どう考えるべきかなと少し考えさせられました。
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