多余的話

大沢武彦のブログです。

中共重要歴史文献資料彙編について(その2)

さて、覚え書きは続く。

 

まず、表題の資料について、中村元哉さんが、『現代中国の起源を探る 史料ハンドブック』で以下のように記している。

 

この『中共重要歴史文献資料彙編』は身元不明の出版社から発行されているだけに、収録されている史料の信憑性には疑問符がつく。それでも、この史料集は文革期も含めて中央レベルの政策文書、とりわけ軍関係の文書を膨大にカバーしており、研究者が数百冊にも及ぶ同史料集を検索のツールとして利用しない手はないだろう (中略)一例を挙げれば、21集に収録されている『1949年以来中共内部党刊資料専彙』全120冊、22集に収録されている『50年代後期”反右派”和”反右傾”運動歴史資料専彙』全11冊などは、一度確認しておくべき史料である。(5頁)

 

なるほど。と言うか、うーむ、やっぱり有名な資料集だったのね。 

 

現代中国の起源を探る 史料ハンドブック (中国21)

現代中国の起源を探る 史料ハンドブック (中国21)

 

 

同資料集は、獨協大学にも沢山所蔵されている。前回の最後にも記したとおり、獨協大学の図書館のHPで 「中共重要歴史文献資料」と入力して検索すると198件の資料がヒットする。1件当たり複数冊があるので、何百冊もの同資料集が保存されている計算になる。これは、香港中文大学中国研究服務中心並、或いはそれ以上の蔵書量である。そこで、獨協大学の図書館に実際に行って、資料を見てみた。

 

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獨協大学図書館には、資料を購入するための当時の冊子目録があり、大変に興味深いものであった。それによると、同資料集の出版は、1995年からなされており、2003年末の購入目録によると、同資料集の冊数は1050冊にもなるとのことである。単純計算で、1年間に100冊以上もの資料が出版されていることになる。ざっと獨協大学図書館の目録と実物の一部を見ると、1995年〜2003年頃までの、比較的に初期のものが所蔵されているようだ。

 

そして、東洋文庫にも、獨協大学ほどではないが、同資料集は所蔵されている。検索をかけると60件ほどがヒットする。内容については、獨協大学のものとの重複はなく、こちらもチェックする必要がある。2008年に購入したもののようだ(全てではないであろうが)。

http://www.toyo-bunko.or.jp/about/joho/0906/18-2008-Jigyohokoku.pdf

 

ちなみに、香港中文大学で僕が見た資料は、2011年のものである。断片的にすぎないかもしれないが、年代的には、獨協大学東洋文庫⇒香港中文大学中国研究服務中心と大雑把な地図を描けるのか(まだ、東京大学にも所蔵されているとのことであるが、、)。

そして、1995年から割と最近まで「膨大」とも言って良い資料集を出版しているこのセンターは何なのであろうか。本当に謎である(続く、のか?)。