実は割とすぐに、この映画が岩波ホールで上映されると聞き、題材的にも大変に面白そうだったので早速、見に行こうとした。で、土曜日に40分ぐらい前に来て切符を買おうとしたが売り切れで見ることができなかった。結構びっくりした
次に行った時は平日の金曜日にお休みをとって行ったのだが、人が満杯で、図書館に興味を持っている人がこんなにいるものなのかと深く感じ入ってしまった。
さて、映画の内容であるが、休憩も入れて四時間近い長い映画である。その映画を貫く大きなコンセプトはおそらくあるのだが、全体を貫く大きなストーリーはなく、図書館を巡る小さなショートストーリが50個ほどある。
まず、興味深いのは、日本とは異なるパブリック(公共)の概念であろう。公共図書館ではあるが、独立行政法人であり、市の出資と民間の寄付によって成り立っているところが、大変に面白い。これは「公立」という意味ではなく「公共」(一般大衆に対して開かれた)という意味にあたるのであろう。
本当にいろいろと興味深い、考えさせられたエピソードは多々あるのだが、例えば、アメリカに新しくやってきた中国系住民のためのパソコン講座が行われており、いわゆる移民を自立させるのは図書館であるという自負が興味深い。さらには、日本で言えば公民館的な地位も、地域の図書館が担っているのも面白い。
そして、アメリカの教科書問題についてのエピソードも興味深い。これは教科書に黒人達の問題をどのように描くのかという問題であり、それに大きな不満を持つ人々が図書館に集って議論しているのが面白い。すなわち、マイノリティーが依拠すべきものは図書であり、資料であり、そうしたものによって、きちんと調べて自分たちの主張を行う時にこそこうした図書館が重要になってくるのだというメッセージはとても重要だ。
つまり、アメリカを成り立たせる重要な要素としての図書館というメッセージはとても明確であった。
併せて読んでなくて、今更、買った以下の本も大変に面白かった。お薦めです。
あと、東アジアの図書館はどうなっているのだろうかと思って、以下の本も買ってしまいました。これも拾い読みですが、なかなか興味深い。
世界の図書館から―アジア研究のための図書館・公文書館ガイド (ライブラリーぶっくす)
- 作者: U-PARL(東京大学附属図書館アジア研究図書館上廣倫理財団寄付研究部門)
- 出版社/メーカー: 勉誠出版
- 発売日: 2019/04/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る