多余的話

大沢武彦のブログです。

読了、王力雄『私の西域、君の東トルキスタン』(その2)

やっと読み終わった。何かに対して、こんなに時間がかかって申し訳ないと思ってしまっている。もっと早く読めばとも思った。

とは言え、この本を読み終えて、王力雄はすごいなと畏敬の念を持った。そして、直感的な理解であるが、本書における王力雄とウイグル人知識人ムフタルとの対話は、東アジアに「公共圏」というものがあり得るとしたら、こうしたものになるのではないかとも思った。

本書の最後の王力雄のムフタル宛てへの手紙は、予言めいている。ムフタルに対して、彼なりの民族問題の「解決」方法を提示した上で次の様に述べている。

 

「新疆の未来は自然の成り行きに任せることはできないし、窮すれば通ずると期待することもできない。そのような成り行き任せの道では流血と災難が避けられないことがすでに分かっている」

 

それにしても、現状の新疆ウイグルはどうなっているのであろうか。この本で描かれているウイグルの状況は暗澹たるものであったが、おそらくはそれ以上にひどい状況になっているのであろう。

しかし、それを考えるためにも本書はまさに基礎となる書であり、繰り返し読まれる必要があると感じた。