多余的話

大沢武彦のブログです。

君たちはどう生きるか(感想・やや辛口)

過日、ようやく、宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」を見た。

いかに巨匠とは言え、80を越えた監督に、それほど大きく期待するのもいかがなものかなと思いつつも、わざわざこの説教くさいタイトルを前面に押し出して、敢えて期するところがあるのかと少し期待もしていたのである。

https://www.ghibli.jp/works/kimitachi/

以下、ややネタバレ(やや辛口)あり。

 

で、見た時の感想ですが、ややまっすぐに受け止めすぎな意見かもしれませんが、「君たちはどう生きるか」と問われて、説教でもいいので、「こう生きるべきだ」という監督のメッセージが何であるか、少なくともはっきりとしたメッセージとしては描かれていなかった様な気がする。これはやはりどうなのかなと思った。

ストーリーはいつもの、主人公である少年が別の世界に行ってまた戻ってくるというものであった。もちろん、才能溢れる世界一とも言って良い巨匠らしくそのイメージの奔流ともいうべきところは凡百の監督とは違う、見るべきものがあるとは思う。が、しかし、それは過去のものと比べて、いささか酷な言い方とするとやはり老いてしまったのかもしれないとも思ったのも事実である(自分のことは棚に上げる)。

 

例えば、自分にとって宮崎駿監督が作るシーンで最も大好きな、階段が崩れ落ちる最中、その上を主人公キャラが懸命に駆け上がるといういつもの描写も、あれ前はもっとカッコ良くなかったけ、えぇっと思ってしまったのである。

 

で、ストーリーは、あれは何々の象徴だ、比喩だという考察があったが、割と自分はそれほど重要と思っておらず、なんというかエディプスコンプレックスというか、マザコンで溌剌とした少女が好きという欲望がストレートに出ていたと思う。もちろん、どういう欲望であってもそれが面白く描かれていれば良いのであるが、素晴らしいかというと、何だかなぁと思ったのも事実なのである。

 

表紙のサギなどはとてもキャラとして面白いと思いつつも、何か足りないとは思ってしまった。と言いつつも、また、宮崎駿監督の新作が出たらブツブツ言いつつ見に行く人間の感想と思って頂けると幸甚である。