多余的話

大沢武彦のブログです。

読了、東浩紀『ゲンロン戦記』

専攻も仕事も全く異なるが、やはり世代が近いせいか、東浩紀さんのお仕事は良くも悪くも気になっている人間の一人である。 『郵便的不安たち』も、『存在論的、郵便的』も読んでいる。 その意見に同意できないことも多々あるが、何だかんだで気になって、結…

いただきもの、ありがとうございます!奥村哲『文化大革命への道』笹川裕史編『現地資料が語る基層社会像』

最近、立て続けに御本を頂きました。ありがとうございます。 奥村哲先生、ありがとうございます。先生の授業で読んだ薄一波の回想録が懐かしいです。 勉強させて頂きます。 文化大革命への道: 毛沢東主義と東アジアの冷戦 作者:哲, 奥村 発売日: 2020/11/30 …

読了、ロビーロバートソン『ロビー・ロバートソン自伝 ザ・バンドの青春』

意外と言っては失礼かもしれないが、結構、読ませるし、面白い自伝だった。 ロビー・ロバートソン自伝 ザ・バンドの青春 作者:ロビー・ロバートソン 発売日: 2018/09/28 メディア: 単行本 やっぱ、ミュージシャンの自伝・伝記って割と面白い。有名人が出てき…

読了、岡本隆司『シリーズ中国の歴史⑤ 「中国」の形成 現代への展望』岩波書店、2020年

岩波新書のシリーズ中国の歴史全五巻の最後を飾る岡本隆司さんの『「中国」の形成』である。このシリーズ不勉強で、まだ全部を読んでいないのですが、やはり一番関心のある岡本隆司さんの本を先に読んでしまった。 明末から現代、習近平政権までをいっきに語…

読了、富田武『日ソ戦争 1945年8月』みすず書房、2020年

これは凄い力作である。そして、この本の執筆が可能になったのは、ロシアと日本のデジタルアーカイブが進展したことによるものであることが、非常に感慨深かった。 日ソ戦争 1945年8月――棄てられた兵士と居留民 作者:富田 武 発売日: 2020/07/18 メディア: …

読了、劉慈欣『三体Ⅱ 黒暗森林』早川書房、2020年

これも大変に面白かった。 ごった煮感というか、何が起こるか分からないゾクゾク感は前作の方が上だと思うが、スケールの大きいSFとしては本作の方が面白いのではないだろうか。宇宙艦隊まで出てきて、銀英伝まで引用されている。 人類を遙かに超える大きな…

読了、松沢裕作『自由民権運動−<デモクラシー>の夢と挫折』岩波書店、2016年−

大変に面白くて、勉強になる本でした。 それにしても、前に読んだ『生きづらい明治』もそうでしたが、この著者は、本を書く時のロジックが大変に明晰で分かりやすく、そこが本書の優れた点の一つでないかと思いました 自由民権運動の始まりを戊辰戦争から捉…

「抗日戦争と近代日中関係文献データベース(抗日戦争与近代中日関係文献数拠平台)」が便利になっている

もう皆さんご存じなのかもしれませんが、僕は昨日に気づいて大変に驚いたので、備忘録的に記しておきます。 中国大陸における近現代資料のデータベースである「抗日戦争と近代日中関係文献データベース(抗日戦争与近代中日関係文献数拠平台)」は、2017年か…

読了、飯島渉『感染症の中国史』中公新書、2009年

それにしても2009年という11年も前に出版されたのに、新型コロナウイルスのおかげで、まるで現在の問題を記したものとなっているのが、本書である。 本書は、公衆衛生という観点から、おおよそ19世紀後半から現代までの東アジアと感染症の問題を描いている。…

読了、劉慈欣『三体』早川書房、2019年

久しぶりに、壮大でエンターテインメント精神に溢れたSF小説を読んだという、そんな高揚感に包まれた。 昨日、Twitterでも呟いたが、今話題の中国SFである劉慈欣『三体』早川書房、2019年のことである。 一応、中国近現代史に関心を持つものとして、中国SFが…

読了、麻田雅文『日露近代史-戦争と平和の百年』講談社現代新書

長らく積ん読であったが、最近やっと読み終わりました。 幕末から第二次世界大戦終結までの日本とロシアとの外交を主に、伊藤博文、後藤新平、松岡洋右という三人の政治家を通して描く、新書であるが大作と言っても良いと思います。 まず、こうした通史を書…

読了、李鋭『中国民主改革派の主張-中国共産党私史』岩波現代文庫、2013年

副題の方が本書の内容をよく表している論集と思いました。 著者の李鋭氏は中国共産党の老幹部で最も先鋭的な思想を持つ民主改革派の重鎮である。 1958年に毛沢東の秘書となったが、1959年の廬山会議、66年からの文化大革命で批判、投獄された経験を持つ。 現…

中共重要歴史文献資料彙編について(その4)

またまた、表題の資料集についてである。以下、覚え書き。 とある研究会で、同資料集が、UCLAだけでなく、オーストラリア国立図書館にも所蔵されていることを聞いた。 そうこうしているうちに、Twitterでもつぶやいたが、川島真先生の横浜日記を読むとその資…

読了、関智英『対日協力者の政治構想』名古屋大学出版会、2019年

本書を読んだ時、この分野のマイルストーンとなるべき研究書であり、今後、日中戦争期を研究するであろう多くの人々にとって必読の書となるであろうと思った。 本書は、日中戦争後に国民政府や中国共産党から「漢奸」と呼ばれて批判された人々、すなわち日中…

読了、益尾知佐子『中国の行動原理』中公新書、2019年

日本を含めた世界各国と軋轢を起こす一党独裁の国、中国。 その背後には、何があるのか、それを中華思想や世界制覇の野心があると安易に論ずるのではなく、できるかぎり内在的にその論理を解明しようとする。こうした姿勢は大変に共感を覚えるし、はっとする…

2019年を少し振り返る(ライブ編)

この記事を書くために過去のTwitter等を読み返してますが、今年は結構、フェスにいってますね。良いライブも沢山見たような気がします。 3月、ダウンロードフェスティバル ヘイルストーム→アーチ・エネミー→アンスラサクス→ゴースト→サム41→スレイヤー→(少…

2019年を少し振り返る(音楽編)

今年も、昔の音楽ばかり聞いてました。回数を数えた訳でないが、たぶんボブ・ディランの以下のCDは今年一番聞いていたような気がします。 Rolling Thunder..-Box Set アーティスト:Bob Dylan 出版社/メーカー: Columbia 発売日: 2019/06/07 メディア: CD ま…

【宣伝】アーキビスト養成・認証制度 調査報告書(令和元年11月)(PDF)など

国立公文書館で発表されたアーキビストの養成・認証制度構築のための調査報告書です。 日本・アメリカ・イギリス・オーストラリア・フランス・韓国・中国の事例をまとめております。私は中国部分を担当しました。ご参考になれば、大変嬉しいです。 http://ww…

読了、峯村健司『潜入中国』朝日新書、2019年

どうも最近、いやひょっとするともっと前からなのかもしれないが、中国がさらにおかしなことになっているようだ。前にも書いたように、ここ最近中国に行っていないような身でありながらでさえ、少し分かってきた。 現在、率直に言うと前のように、気軽に中国…

いただきもの。多謝!及川琢英『帝国日本の大陸政策と満洲国軍』

著者の及川琢英さんから頂きました。ありがとうございます! 及川さんの論文については、実はかなり読んでいる自負はありますが、改めて勉強し直す良い機会を与えられたと思います。 自分はもらってばかりで、人にあげる論文等をはやく書かねばと思っている…

いただきもの。多謝!関智英『対日協力者の政治構想』名古屋大学出版会

著者の関智英さんからご恵投頂きました。ありがとうございます! 日中戦争期における「漢奸」と呼ばれた対日協力者達の未完の政治構想に焦点を合わせた関さんのこれまでの研究の集大成、大作になるかと思います。 これは今後の研究の必読文献になるかと思い…

いただきもの。多謝。久保 亨, 土田 哲夫, 高田 幸男, 井上 久士, 中村 元哉『現代中国の歴史』第二版 

著者の方から頂きました。ありがとうございます。 第二版ができるくらいに、現代中国の変化は早いということになるのかと思います。 併せて、今の香港情勢を見ると、それを歴史的に考える意味でも、両岸三地というアプローチは大変に興味深いものかと思いま…

読了、高橋伸夫「高崗事件再考」

別段、自分に限ってではないと思うが、普段、僕にはいくつか関心のあるテーマがあって、本を買って読んだり調べ物をしている。その関心の一つに、高崗事件がある。高崗事件とは、1954年春、中国東北地方の実力者と知られていた高崗が、饒漱石とともに粛清さ…

読了、余華『活きる』中公文庫

チャンイーモウ監督が映画化した『活きる』は、大昔、授業でも使ったことがあり、結構、見ていたが、その原作が、文庫本になり、Kindle化されたので読んでみた。 これは、いわゆる主に国共内戦、土地改革、人民公社、大躍進、そして文化大革命という1940年代…

読了、梶谷懐、高口康太『幸福な監視国家・中国』NHK出版新書、2019年

友人の中国研究者(歴史の人が多いですが)に会うと、たいてい聞いている質問がある。「最近、中国行っている?」「中国、どうだった?」と言うものだ。 人よりも中国については詳しいつもりであるが、しかし、香港を除けば、ここ数年中国大陸に行っていない…

読了、王力雄『黄禍』集広舎、2015年

いやー、この本もかなり遅まきながら読んだが、かなり面白かった。 黄禍 作者: 王力雄著,横澤泰夫 出版社/メーカー: 集広舎 発売日: 2015/11/09 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 王力雄の『黄禍』だ。いささか時代がかっており、通俗的と言えばそ…

いただきもの。感謝。細谷亨『日本帝国の膨張・崩壊と満蒙開拓団』有志舎、2019年

著者の細谷亨さんから頂きました。ありがとうございます。 近年、満蒙開拓団は、静かではありますが、研究が盛んになっており、その静かなブームの頂点の一つとなる御著書かと思います。 以前に報告を伺った際には、満蒙開拓団を送り出す側の現場の実態を鮮…

フジロック2019に行ってきた

さて、今年もいろいろとありましたが、フジロック2019に行ってきました。 無事に帰ってきました。関係各位に篤く御礼を申し上げます。 備忘録も兼ねて、簡単にレポを致します。 第一日目 レッドホットチリパイパーズ→昼食、アンマリー最後のみ見る→ルート17…

中共重要歴史文献資料彙編について(その3)

さてさて、また覚え書きは続く。たぶん最後なので少しおまけのような覚え書き。 表題の資料集について、最近、読んだ辻康吾さんの中国共産党史に関係するエッセイが興味深かった。 中華万華鏡 (岩波現代文庫) 作者: 辻康吾 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日…

映画『ニューヨーク公共図書館』を見てきた

実は割とすぐに、この映画が岩波ホールで上映されると聞き、題材的にも大変に面白そうだったので早速、見に行こうとした。で、土曜日に40分ぐらい前に来て切符を買おうとしたが売り切れで見ることができなかった。結構びっくりした 次に行った時は平日の金曜…